日々是好日

株式会社ARTLOGUE CEO/編集長 鈴木大輔のブログです。

四十不惑

40歳になりました。
なんの因果か、文化の日に生まれて、いまアートに携わる仕事をしています。

40歳というと人生の節目とか、折り返しとか、顔に責任を持てとか、なにか特別な意味合いがありそうですが、とは言っても昨日とさほど変わらない時間を過ごしているし、おそらく明日もそれ程変らない時間を過ごすのだと思います。

ただ、これまで問題意識を持って取り組んで来たことがようやく時代と合ってきたのか大きく動き出そうとしていますし、四十不惑とも言いますので、迷わずに突き進むためにも大口を叩いておこうかと思います。


1,株式会社アートローグを上場させます。

上場がゴールではないですが、ひとつの目標として分かりやすいので上場を目指します。僕がアートベンチャーとして実績を残せば文化芸術資源をビジネスに活かせる後続アントレプレナーが続いてくれると信じています。そのためにも先ずは早期に資金調達をして事業を拡大したいと思います。


2,この国の文化芸術政策を更新します。

この国の未来は非常にネガティブな要素に満ち溢れています。とりわけ文化芸術に関しては税金に頼り切ってきたつけがそろそろまわってきます。そういった状況を打破するためにも、いま壮大なプロジェクトを仕込んでいます。これまでになかったスキームで日本の文化芸術を発展させていきます。


これまでも大口を叩いて、それを目標に必至にやっていると、支援者が現れたり、なぜかうまくいったしてきたので、これからもそんな博打のようなスリリングな人生を送っていきたいと思います。

まだまだ生きる予定なので、今後とも末永くお付き合いを頂ければ幸いです。

グローバル化って簡単に言いますが。

ベンチャー界隈にいると、常々グローバル化を問われる。アクセラレーションプログラムやビジコンなどでもグローバル化は必須。
で、優秀者には副賞としてシリコンバレーでのビジコン参加などなど。← 個人的には、その金を開発費に使わせてもらった方がベンチャー的には遥かに嬉しいと思っている。

しかし、ここ近年、上場しているIT・ネット系のベンチャーはほとんどがドメスティックなサービス。
さらには、グローバル化を声高に叫んでいる人の大半がドメスティックだったりと、親の夢を担がされる息子のような気分ではないでしょうか。

無論、このシュリンクすることが確実な日本に留まっていたら間違いなく死ぬんだけど、最初から無理にグローバル化を目指すよりも、先ずは国内市場としっかり向き合って力を蓄えてから海外戦略を練った方がいいような気がする。
ほぼ日ですら上場するんだから。(失礼)

いつか役に立つはずだと英語を1日1時間、年間300日程度勉強しているとして、それを別のコトに費やしたらどれだけ生産性が上がるんだろうか。

ただでさえ、国内向けにやりたいことと、やらなきゃいけないことが山積していて全然出来てないのに。
と、英語を勉強しながら我思ふ。

終戦記念日と鎮魂と『ゆきゆきて、神軍』

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8月15日の終戦記念日に大阪護國神社の「献灯みたままつり」に行ってみた。

右傾化しているという噂の日本。ネトウヨなど台頭しているように感じるので、靖國神社のようにアレな方々が沢山いらっしゃるのかと思いきや、そんな方々は一人もいないどころか、驚くほど人が少ない。
昼に行われた「英霊感謝祭」にはもっと人が集まったようだが、夜の「献灯みたままつり」は的屋もたった3軒のみで祭り感がまるでなく境内はかなり寂しい。

境内にはなかなかファンキーなデザインの陸海空軍ごとの慰霊碑の他、部隊ごとや、軍馬、軍犬、軍鳩の慰霊碑もある。慰霊碑の多くには「つわもの」「英霊」と言った類いの勇ましい言葉が乱舞する。

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18時30分から盆踊りが始まると書いてあったので、境内で手持ち無沙汰に待っていると、ひとりのお婆ちゃんが「もうすぐ、本殿で巫女さんが綺麗な舞を踊ってくれるからどうですか」と声をかけてくれた。
聞けば、当時高校生くらいだったいとこを戦地で亡くした遺族だという。
本殿の向かって右側は盆踊りを踊る婦人会の方々がぎっしりいるものの、対する左手遺族席には我々夫婦を合わせてもたったの4人(最後の方で2人増えた)しかいない。
昔はこの祭りにも人が沢山来ていたらしいが、遺族の高齢化とともに訪れる人も減少しているとのことだ。

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「英霊」という戦死者を美化した言い方は個人的には好きではないが、馬、犬、鳩なども同様に感謝し鎮魂しようとする心はいいと思う。

ネットやTVから伝わる靖國神社の喧騒とは打って変わって、こちらの儀式や盆踊りは静かで鎮魂に相応しい雰囲気だ。一体、ネット上でけたたましく騒いでいる人たちは何処へ行ったのか。”英霊”に感謝、鎮魂もせずに保守といえるのだろうか。

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帰宅後、もう少し戦争のことを知りたいと思い、前々から気になっていた『ゆきゆきて、神軍』を観た。


ゆきゆきて、神軍』はアクティビストの奥崎謙三がかつて所属していた独立工兵隊第36連隊のウェワク残留隊で、上官による部下の射殺事件があったことを知り、処刑に関与した元軍人たちを問い詰めるという内容のドキュメンタリー映画だ。
田中角栄を殺す」と書かれた街宣車に乗り、暴力を使ってでも関係者に証言させるなど、奥崎の奇行が目につくが、それが霞むほどにこの映画は第二次世界大戦中の異常さを際立たせる。

「食人のための部下の射殺」「黒豚(現地人)、白豚(白人)」など、当事者から事実を聞き出していることは価値がある。
ゆきゆきて、神軍』の公開が1987年なので、30年前になる。おそらくこの映画に登場している方々のほとんどがこの世にいないのだろう。戦争がどれほど狂っているかを伝えるためにも、一刻も早くより多くの証言をとっておくべきだ。

奥崎の奇行・言動、証言の内容など、色んな意味でこの映画『ゆきゆきて、神軍』は観る価値があると思うのでオススメだ。

さらっと内容を知りたい人は、こちらのレビューをどうぞ。
http://www.st.rim.or.jp/~r17953/impre/Movie/OKU_1.html


また、この時期にもあまり話が出てこないが、第二次世界大戦中には日本国中がイケイケ状態だったことを考えると終戦間近は別としても、戦時中に相当利益を得ていた人たちもいるのではないのだろうか。(戦争に疑問を持っていた人もいただろうが)
軍需産業はもちろんのこと、新聞やメディアも戦争を煽れば売れただろうし。そういった利益を得た、謂わば戦争の共犯関係にあった人たちの証言も取り、過度に利益を追求すると戦争を助長することにまでなるということの検証も必要ではないだろうか。

個人的には悲惨さだけを伝えるのではなく、多角的な検証によってこそ戦争を抑止する方法が見つかるのではないかと思う。

日本は72年間も戦争のない平和な日々を過ごしてきたが、北朝鮮のミサイル開発や、中国の海洋進出など、こちらが望まなくても軍靴は近づいて来る。

終戦記念日に戦争のない世界を願う。

デジタルアーカイブ学会設立総会 @ 東京大学

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本日はデジタルアーカイブ学会設立総会 @ 東京大学
会長には長尾真先生(京都府公立大学法人理事長、元京都大学総長)

学会ではアカデミックな検知から政策形成や基盤づくりなどを担う。

一方で、対をなすデジタルアーカイブ推進コンソーアムの会長はARTLOGUEの顧問でもある青柳正規先生(山梨県立美術館館長、元文化庁長官)。

こちらは、企業との連携や利活用の促進などを担う。


日本のデジタルアーカイブの行く末を担う方々との交流は得るものも多い。皆さん一様にこれ以上、デジタルアーカイブで海外に遅れを取れないとやる気は満々。

特に今日はIIIF(International Image Interoperability Framework)の存在を知ったことが大きい。

利活用の観点からもこれが普及すれば著作権保有者などとのコミュニケーションロスが大幅に無くなり、もっとクリエイティブに文化資産の活用が進むかもしれない。


恥ずかしながら、アート業界では未だに画像貸出の際に、「右クリック禁止」(全く意味のない)の処置なる90年代を彷彿とさせる条項が入っていたりするから、なおコミュニケーションロスが大きい。
無論、こういった学会やコンソーシアムでアート業界の人は皆無。MLA連携やGLAMといった潮流からは完全にはみ出している。

何度でも言うが、モナリザを画像で数百回見ようが、それでモナリザの価値や集客力が毀損されることはなく、むしろ価値は上がり、実物を見たいと思う人は増える。
ギャラリートークを配信するCRATORS TVでアンケートをとっても約90%の人がCRATORS TVを見た後に美術館に行きたくなったと答えている。

この2つの組織が出来たことで、世界に遅れを取っている日本のデジタルアーカイブ事情(特にアート)も少しは改善されることを願う。

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雑感「週刊ダイヤモンド 美術とお金全解剖」

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週刊ダイヤモンド 美術とお金全解剖
読了したので雑感を少々。


方方からツッコミは入るでしょうが、ビジネス系週刊誌がよくここまでまとめたなと思います。


ビジネス週刊誌ということもありお金の話しが多いのと、アートコレクターのエグゼクティブが多数出てきます。コレクターには勢いのある会社の経営者が多い。
石川康晴(ストライプインターナショナル)、松本大マネックスグループ)、遠山正道(スマイルズ)、前澤友作(スタートトゥデイ)、福武總一郎(ベネッセホールディンクス)、竹中平蔵慶應義塾大学


アートへのスタンスの違うアーティスト達へインタビューしているので、その対比がアーティスト達の目的目標の多様性を読者には感じてもらえるのではないでしょうか。
向吉悠睦(仏師)、猪子寿之(チームラボ)、近藤亜樹(画家)、小木曽誠(画家)、山口晃(画家)


一般の人には聞き馴染みのある日展院展など画壇がなぜアート業界からはディスられているかも分かると思います。ただ、画壇が互助会として機能していることがアーティストのセーフティーネットになっていることもあります。
 

ランニングのことを全く考えずに、おらが県にもと美術館を乱立させて疲弊する地方の美術館。結局、建てる時のお金は美術業界にではなく、ゼネコンや建業界へと行くだけなんですよね。平成5年以降、1/3程度にまで減少している文化関係経費のほとんどが文化施設建設費というのもいびつ。
美術館業界が税金に頼り切ってビジネスモデルも考えてマネジメント出来る人材がいないというのもいびつ。
PFI(Private Finance Initiative)など最近よく聞くけど、もう少しましになるのだろうか。


トータルとして、アート業界のことをざっくりと理解するにはいいと思います。


あとは、有識者達のツッコミを楽しみにしています。



dw.diamond.ne.jp

bitechoが美術手帖として再スタート

アートサイトのbitechoが美術手帖として再スタートするとのこと。

bitechoは雑誌『美術手帖』と同じく、完全にアートワールド向けの内容だったのに、マーケティングのためにか、カジュアルなアートサイトを装っていたので、ターゲットとコンテンツのミスマッチが大きかったと予想される。

例えれば、頑固な職人がウェイ系な好きな子目当てに、無理してお洒落パーティーピーポーを装っていたが、職人気質からノリきれずに好きな子には相手にされなかったようなもの。

今のところbitechoと美術手帖にはほぼ同じ記事が載っているのに、サイトの説明が全く違うことからも、アートワールド向けに原点回帰したと伺える。

ぜひ、職人としてさらしを締め直して頑張って欲しい。



bijutsutecho.com


bitecho.me

ID、パスワードの管理問題。

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ID、パスワードの管理問題。

これまでは、ある法則で全てのサービスのパスワードを違うものにしていたけど、サービスごとでID、パスワードに使える文字数、文字種が異なるので、結局イレギュラーな対応をせざるをえなかった。
 
で、このイレギュラーに限って使用頻度が低く、ログイン時、毎回のようにID、パスワードが分からなくてイライラさせられる。
 
で、パスワード管理があまりにもめんどくさいので、True Keyを導入してみた。
True Key は、各サービス毎のアカウントIDとパスワードを記憶し、ログイン時に自動で入力、ログインしてくれるintelのアプリ。

True Key | 面倒なパスワード管理は不要です
https://www.truekey.com/ja


PCやスマホなど複数のデバイスもひとつのアカウントで管理出来るので、今のところ便利。しかし、懸念もある。
  
1,True Keyのマスターパスワードが取られたら全てOUT?
2,UFJクラウドダイレクトなど一部サービスには未対応っぽい。
 
Excelで管理もやってたけど、めんどくさいし、セキュリティが低い。
やはり今のところTrue Keyが最適解なのか。
 

しかし、何度でも言うが、サイバー犯罪はインターネットにつながっている全人類のセキュリティ対策コストを考えると社会的に極めて影響が大きい。
サイバー犯罪者には、テロリストと同じクラスの対応でいいと思う。
それが例え国家主導であったとしても。



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